ニュージーランド南島(ミルフォードトラック その2)
2014年 02月 09日
ミルフォードトラックを歩くなかで、蝶に出会うことができました。
Common Copper (Lycaena salustius)と呼ばれる銅(=Copper)色のベニシジミです。
ニュージーランドの固有種であり、ニュージーランドでは全域でふつうに見られる種類のようです。
なかなか近づけなくて、一度飛んでいってしまいましたが、二度目のチャンスで何とか撮影させてくれました。
日本以外に棲む蝶を撮るのは初めてだったので、嬉しかったのです♪
Common Copper はトゥトゥがまばらに生える日当たりのよい開けた場所で見られました。
このトゥトゥですが、実にはNZ原生植物の中で最も強い毒があるのだそうです。
日当たりのよい場所では、お花もいろいろ見られました。
NZの在来種なのか、外来種なのか分かりませんが、可愛らしく一輪咲いていました。
日本でいうとハハコグサのような種類でしょうか。
グレイド・バーンの水辺へ向かう途中に咲いていました。
種類なんか分かりませんが、何だか目が行って。花が終わって綿毛に変わろうとしているのかな。
トゲトゲがいっぱいでユーモラスです。バラ科の植物です。
こちらもユニーク。グレイド・バーンの河原に生えていた地衣類。
石の表面に生える赤いのも地衣類。雨の多い環境が様々な地衣類を育んでいるような気がしました。
可愛らしい白い花は、NZ南島で湿り気のある岩場によく見られたパラヒービーの仲間です。
日陰にも、少し花が大きめの別の種類のパラヒービーが見られました。
湿り気の多い環境では、日本のキンポウゲと同じような花がちらほらと咲いていました。
可愛らしい小さめのキンポウゲもありました。
ミゾカクシの仲間も湿り気を好みますね。
コケの間から顔を出した米粒のような小さな花は、キク科のパラニという花だそうです。
ウェットランドでは、食虫植物のモウセンゴケまで見ることができました。
ブナ(Beech)の木の下に落ちていたキノコです。ストロベリーの姿に例えた名前ですね。
3種類のブナ(Beech)の木は、葉の形で区別することができました。
山ブナの葉はギザギザ(鋸歯)がありません。
ギザギザ(鋸歯)があって、やや大きめの葉なのが赤ブナです。
林縁には小さな白い花を一面につけた低木がたくさん見られました。マヌカの木です。
このマヌカの花からとれるコクのあるハチミツは「マヌカハニー」として有名で、
トーストに塗って食べてもおいしかったですし、殺菌作用を持ち薬用としても利用されています。
そして、今回ガイドさんに教えていただいた事なのですが、ミルフォードトラックでは道沿いの木に赤い印がつけられている場所がよくありました。
それは、もともとこの島にはいなかったイタチを捕獲する罠が、どこに設置されているかを示す目印なのです。
イタチ捕獲用に続いて、ポッサム捕獲用の罠もたくさん仕掛けられ始めています。
イタチやポッサム捕獲用の罠が仕掛けられているのは、ニュージーランド独特の事情があります。
この島にもともと棲んでいた陸上の哺乳類は3種のコウモリ(そのうち1種はすでに絶滅)だけだったのです。
つまり、NZは地球上でもユニークな生態系をもっていて、言わば「とても大きな鳥小屋」だったのです。
大陸から遠く離れたこの島で独自の進化を遂げた鳥たちがユニークな特徴をとどめて生息しているのです。
飛べない固有種「タカヘ」もその一種です。上の写真はテ・アナウのシンボルとなっているタカヘの像です。
実際は全長60cm余り。頭は濃い青色で、肩は光沢のある青と緑色、深紅のくちばしをもった美しい鳥です。
人間がこの島に入ってくるまでは、タカヘは島の広い範囲に生息していました。
しかし、島に入ってきたマオリの人々やヨーロッパ人による狩りの影響で激減し「幻の鳥」となったのです。
1948年に、一度は絶滅したと思われていたタカヘが、テ・アナウから近いフィヨルドランドのマーチソン山脈で再発見されます。
約250~300羽のタカヘが再発見されたものの、人間が人為的に持ち込んだイタチや鹿がマーチソン山脈にすでに多く入り込んでいました。
イタチによる捕食や、鹿がタカヘの隠れ場所や餌となる植物タソックを食べてしまい、タカヘの生息数はその後20年で約160羽へと急激に減少してしまいます。
このままではタカヘが絶滅してしまう可能性があったため、国を挙げてのタカヘの保護活動が行われました。
まず、フィヨルドランドのマーチソン山脈一帯から鹿を駆除し、「タカヘ特別地域」として一般人の立ち入りを規制しました。
また、テ・アナウのワイルドライフセンターで飼育され、柵越しに観察できるようになりました。
テ・アナウに行けば幻のタカヘを見ることができるということで、タカヘがテ・アナウのシンボルとなったのです。
現在では、全生息数が一か所に固まっていると絶滅の危険が高いので、いくつかの天敵のいない島で放し飼いも行われ、生息数が230羽まで回復しているそうです。
ニュージーランドの国鳥「キーゥイ」。
NZのシンボルとしてクイーンズタウンやオークランドでも、その像を見かけました。
実際は体長40cmほど。長いくちばしはミミズや昆虫の幼虫、クモや果実を食べるのに便利なのだそうです。
ミルフォードトラックにもブラウン・キーウィ (Brown Kiwi)が少数が生息しており、夜間には鳴き声を聞くこともあるといいます。
しかし、天敵であるイタチやポッサムなどに生息を脅かされ、現在NZ全土でその数を減らしていっているのです。
NZ固有の貴重な鳥たちを絶滅の危機から救うために、イタチやポッサムの駆除が行われているのです。
この「モア」の像は原寸大! 最も大きなものは全長3m、体重は250kgもあったそうです。
翼を持たず、完全な草食性で、その長い首で届くところにある木の葉を食べながら森の中を歩き回っていたようです。残念ながら、マオリ人の到来後に絶滅してしまいました。
モアはもう見ることができませんが、モアの痕跡を今回教えていただきました。
ランスウッド(槍の木)です。名前の通りに幼木の時は槍のような細長く硬い葉をつけます。
この槍のような葉をつけるのは、モアに食べられないためだったというのです。
そして、ランスウッドはモアに食べられないような高さにまで成長すると、何とふつうの形の葉っぱに姿を変えてしまうのです!
モアが絶滅してしまっても、かたくなにユニークな生活史を変えないでミルフォードトラックに生えるランスウッド。何だかいじらしくて、本当に忘れられない植物です。
最後の写真はお昼ごはんを食べたグレイドハウスに展示されていたものです。
左の写真はミルフォードトラックの道を開拓したクィンティン・マッキンノンさん。
そして右の写真。開拓当時のミルフォードトラックの写真ですが、木にずんぐりとした鳥がとまっています。
鳥の名は「カカポ」(別名 フクロウオウム )です。
全長63センチ、成鳥では2キロを越える重さにもなるこの鳥は、何と飛ぶことのできない大型のオウムなのです。
現在の生息数は2001年で62羽のみ。絶滅危惧種の中でももっとも危ない種 とされ、自然環境保護省(DOC)の徹底した管理のもと、厳重に保護されています。
ミルフォードトラックでは、現在もうカカポは見ることができません。
けれども開拓初期にはたくさんのカカポがトラック上に生息していたのです。
クリントン川の2つの支流が合流する部分はいまでもカカポ・ポイント (Kakapo Point) と呼ばれているそうです。
地名にだけ鳥の名が残るなんて悲しいことです。
NZ固有の鳥たちがこれ以上絶滅することなく守られていくことを願ってやみません。
今回、ミルフォードトラックでは鳥の写真は撮りませんでしたが、様々なNZ固有の鳥を感じることができました。
ファンテイルやライフルマンといった小鳥は人を恐れずに近づいて来てくれたり、そして大きなニュージーランドバトが横切る姿を見ることができました。
また、ベルバードやトゥイの美しい鳴き声が森に響き渡り、カカという大形のオウムの鳴き声も聞くことができました。
NZが Land of Birds (鳥の国)であることを知った一日となりました。
ガイドして下さり、さまざまな事を教えてくださったYoshiEさんに感謝致します。
(参考文献:「ニュージーランド楽園の鳥たち」 リチャード・ライアル)
コメントいただきありがとうございます。
お住いの地は雪はいかがでしたか・・
ニュージランドの植物や鳥・・目面しものばかりで興味をもって拝見させてもらいました。
コメント頂き有難うございました。
久し振りのブログですね
竹取物語ゆかりの奈良県広陵町によるものがたりを
かぐや御膳、竹取御膳と、竹をイメージした器でした。
ニュージーランドへ新婚旅行に行かれたのですね、
良い思い出に残る旅だった事でしょう
私も今年5月に金婚式を迎えます。
日本では、見れない自然&花&動物楽しく拝見させて頂きました。
有難うございました(●^o^●)
本当にいのちって、不思議ですね。
モアという鳥さんに会ってみたい、この植物にも
チョウチョはベニシジミの仲間なんですか。
日本には日本の固有種がいる、
大切にしなければいけませんね。
ニュージーランドの植物や鳥は、興味深い種類がたくさんありました!
雪は2月14日は、こちらでは24年ぶりの大雪警報が出ました!
そちらは、雪のほうは大丈夫でしたか。
コメントありがとうございます!
ニュージーランドで未知の植物や蝶に出会うことはほんとに楽しかった
です。ガイドさんに教えていただいたり、図鑑を見たり、TV番組で知識
を深めたり、NZが大好きになりました。
コメントありがとうございます!
ブログご無沙汰しております。なかなか定期的に更新とはいかないかも
しれませんが、これからも宜しくお願い致します。
広陵町は隣町ですので、ぜひぜひ行ってみたいですね!
新婚旅行は、思い出深いものとなり、二人で何度も良かったねと
振り返っております。5月に金婚式を迎えられるなんて素晴らしい
ですね!自分たちもいつかそんな節目の日を迎える時がくれば
素敵だなあと思います。コメントありがとうございます!
NZには日本とはまた違った生態系があり本当に興味深いものでした。
モアが絶滅していなかったなら、ぜひ会ってみたかったです。
キゥーイはツアーの日程が合わなくて、バードパークを訪れることが
できなくて、それは少し残念だったです。
おっしゃられる通り、NZを訪れて、逆に日本には日本固有の素晴らし
い生態系があるのだと改めて感じます。私たちは日本の豊かな自然を
後世に繋いでいかないといけませんね!
コメントありがとうございます!